北海道大雪山系で痛ましい遭難事故が発生した。亡くなられた方に対し、ご冥福をお祈りします。さぞかし無念だったでしょう。また、同じパーティーで登られた皆さん、ガイドさんやツアー会社の方々にも、お見舞いを申し上げます。ご自身も大変だったでしょうが、同じパーティーの方がなくなられる場に居合わせたことによるご心痛をお察しいたします。
私は、学生時代に不注意から沢で肩を脱臼し(すぐに嵌まって大事には至らなかったが)、社会人2年目にも沢で滑りあわや命を落としかねない目に遭い(滝壺にすっぽり落ちて奇跡的に無傷で済んだ)、15年以上経ったいまでもぞっとすることがあります。
今回、悪天下でパーティーが散り散りになってしまったところに大きな問題はあると感じますが、そのことよりも、ツアー登山の難しさを感じました。自分が所属していたワンゲル部でのパーティー登山はもとより、ある意味、単独行よりも難しいのではないかと思います。主催者側・ガイド・参加者いずれも、その場で初めて会う人たち、つまり力量が全く分からない人同士が何の準備もなく一緒に寝食をともにしながら山歩きを続ける。コンディションが良ければ何の問題もないが、ひとたび悪化すると、このようなことが起こりやすい。この点は、山岳雑誌などで指摘されていたことでもある。また、地図も読めない、下調べも不十分な状況で参加するということも指摘されていた。
一方で、若い頃に山歩きをしていなかった人にとって、自分でもろもろのスキルを身につけることは決して容易ではないのも事実。コアな山岳会に入って頻繁に山行に出かけられる人ばかりではないのは自明。また、私もそうだが、身の回りに自分と同じ日程で、同じレベルの山行に出かけられる人を見つけることは容易ではない。また、入山・下山場所へのアクセスの確保も難しい。そのような人々にとり、ツアー登山の機会はとても貴重なものであることは、間違いありません。
実は、私自身も、夏に2-3泊の北アルプスの縦走を検討していますが、ツアーに参加するか単独行にするかはいつも悩ましく思っています。自分の歩くペースや体力は、ほぼ間違いなく通常のツアー参加者のレベルは上回っているはず。一人で歩いていると、知らず知らずのうちに息が上がるスピードまで追い込んでしまうので、少しゆっくり目に楽に歩くのもいいし、何よりそこで出会った人たちと語らいながら山を歩くのは楽しい。その反面、一人でいけば必要に応じて予定も変更できるし、自分のペースでいける。足を踏み入れる山域に気をつければ気楽だけれど、アクセス面であるとか、ずっと道中一人(もちろん、行き交う人たちなどとの交流も楽しいのだけど)であることのデメリットもある訳で。
新聞などにもあるように、ツアーの場合、予備日をとり難いという問題があるし、特に今回の北海道のような場合、参加料金も軽く10万円を超えるということも珍しくはないでしょう。ガイドが日程を強行したことに批判があるようですが、諸々の事情を考えると日程を中断して停滞するという選択肢は事実上かなり難しいのではないかと思います。一部には、「危ないと思ったのなら、自分だけでも行かない判断をしないと」という声もありますが、そんなことがいつも横行するようだと、パーティーが成り立たない。また、メディアでしたり顔で「引き返す勇気」を強調する人もいるけれど、登山口であればともかく、山のど真ん中にいる場合にどうするかは、そもそも判断が容易ではないことは知っておくべきでしょう。
今回の件で、参加者・主催者ともに様々な問題点は修正してもらいたいが、山に行くこと、その手段としてのツアーがなくなるなどということにはつながってほしくないですね。
個人的には、体力・技術面で自分とギャップがある人(今は、自分より下の意味。将来は自分より上の意味)が一緒になるという意味を改めて突きつけられたような気がします。
山で怪我をして動けなくなるのは、普通に思われている以上に簡単なこと。ちょっと滑って骨を折った、足をひねったというだけで容易にそのような事態に陥ってしまう。自分も、尾瀬の木道で滑って捻挫したこともある。山は怖い。
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